経営計画で会社を変革

融資を受けるために必要な経営計画をつくろう!

銀行には「信用格付」という物があり、この「信用格付」の状況により融資を受けることが出来るか否かを決められています。
それでは「信用格付」を上げるにはどうすればいいのでしょう?
実は「信用格付」を上げるためには「業績の向上」とともに「信頼性の向上」が必要不可欠です。
「信頼性の向上」には、まずは自社の強みを十分に説明し、定性的要因のスコアアップを図ること。
そして何よりも重要なのは、実現可能性の高い「経営計画書」を策定することです。
「経営計画書」は、社長がこうありたいと考えている将来の会社の姿を数値で表し、それに向けて何をどう変革していくのかなどの具体的な計画を示したものです。

「金融検査マニュアル」によれば、経営計画を金融機関の自己査定結果の判断の目安にするとしています。
また「金融検査マニュアル別冊」によれば、金融機関に「経営計画書」を提出している中小企業には柔軟な対応をとるように指導しています。

したがって、たとえば、債務超過の会社であっても、経営困難となった原因をつきとめ、有効な治療法を具体的に示した「経営計画書」が作成されていれば「破綻懸念先」からランクアップされ「要注意先」となる場合もあるのです。
「破綻懸念先」とされれば、すなわち融資金の早期回収が実行されますが、「要注意先」であれば融資が継続される可能性が残されるわけです。

事実、「経営計画書」の出来いかんでは債務超過会社でも融資が新規で受けられます。
いざとなれば「経営計画書」は、会社の死命を制するともいえるのです。

それでは銀行が納得のいく、「経営計画書」とは?

銀行の担当者・審査部門の担当者は、ほとんどみなさんの業種の特殊事情を理解していません。
そのうえで財務数値のみで判断する担当者に自社が将来に向けていかに成長しつつあり、
収益から借入金を返済する能力が十分あるかということを理解してもらわなければなりません。

さらに、3年先、5年先の自社がどのようにして体質強化をしていくのかを実現可能なかたちで示す必要があります。
そのためには現在までの業績と問題点を的確に分析し、問題解決に向けた改善策、改革案が実際に実施できるスケジュールに落とし込まれ、具体的に示されていることが求められます。

一口に経営計画といっても!!

経営計画は、一般的に長期経営計画、中期経営計画、短期経営計画に分類されます。

短期経営計画は対象期間を事業年度とし、その数値計画は年次予算であり,月次予算となります。その特徴は現状延長型の計画ということになります。それに対し、長期経営計画は企業のおかれている環境や、自社を他社との比較し、強みや弱みを把握することにより、企業の将来あるべき姿をあらわします。そして自社の現状とのギャップを認識し、経営課題を明確にし、そのギャップを埋め、経営課題を克服する戦略を練ります。

中期経営計画は長期の経営計画を受け、現状延長型の予算と一線を画し、個々の経営課題について、何のために誰が・どのように・いつまでに・どれくらいの経営資源を使って・どの程度の目標を達成しようとするのか、に実行計画に具体化します。

またそれらの実行計画を集計することで数値計画として、中期経営計画に具体性をもたせることができます。例えば、「どれくらいの経営資源を使って」で,経費計画や,人員計画としてまとめることができます。また「どの程度の目標」で売上計画や利益計画として集計できます。長期経営計画が企業理念や将来あるべき姿の作成から始まるのに対し、中期経営計画は長期経営計画で作成した企業理念を前提とします。つまり中期経営計画は長期経営計画の実行計画という位置付けです。

企業理念や将来あるべき姿については、明確なイメージをもっていても、数値計画として具体化させていない経営者も見受けられます。そこでその企業理念や将来あるべき姿と、現状延長型の予算とのギャップを埋める中期経営計画の作成が経営管理上有効です。

中期経営計画の作成手順とは?

前提とし長期経営計画などにより、企業理念や企業ビジョンが策定され、企業のあるべき姿が明確になっているものとします。その企業像に影響を与える環境について予測し分析することからはじめてください。次にその企業像が環境の影響を受けるとした場合に,現状とのギャップを把握するため、企業分析を行います。そこではじめてそのギャップが経営課題として認識されます。その経営課題を克服すべく戦略を練ります。この戦略を何のために誰が・どのように・いつまでに・どれくらいの経営資源を使って・どの程度の目標を達成しようとするのかに具体化し,実行計画を作成します。この実行計画を集計したものが、利益計画,設備投資計画,人員計画,資金計画などの個別計画となります。実際の手順は次のようになります。

  1. 会社をとりまく環境の予測
  2. 自社と業界他社との比較分析
  3. 経営課題と明確化
  4. 基本戦略及び実行計画の作成
  5. 具体的な数値計画に集計

勘に頼るのではなく,しっかりとした予測や分析に基づいた説得力のある計画の作成には、手順が重要です。

環境分析と企業分析 →経営課題そして黒字化

中期経営計画策定の第一段階として、環境分析を取りまとめます。
環境要因として分析すべきものは、おもにマクロ環境要因とミクロ環境要因とに分類できます。マクロ環境要因としては経済動向、法律、技術革新、労働環境、ミクロ環境要因としては業界動向,消費動向、流通動向があげられます。このなかで企業業績に影響の大きいものについて、環境変化の予測をし、そして会社業績への影響を予測しましょう。

社会や顧客,業界などの環境の予測ができたら、自社を他社と比較し分析を行います。
経営課題を明らかにし、戦略を練るために必要な自社の強みと弱みを把握します。強みや弱みは全社と部門,製品別などの事業ごとに、それぞれについて行うことが必要です。製品別、事業別には、事業シェアと成長性により行うPPM(プロダクト・ポートフォリオ・マーケティング)の手法などにより分析します。どういう製品や事業を重点的に強化すべきか、または縮小すべきなのか、撤退すべきなのかを明確にします。過去の分析から事業の方向性を把握し、企業の将来あるべき姿と重ね合わせることにより、経営課題が浮かびあがってきます。

浮かび上がってくる経営課題を確実にクリアしてくことこそが経営を黒字化に導くための作業となるのです。